yigarashiのブログ

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ふりかえりは必ずポジティブなコーナーから始める

ふりかえりは少なからず自分たちの悪いところを明らかにするプロセスを含むので、痛みを伴います。そして、チームが真面目で向上心があるほど、その痛みに立ち向かって改善を推し進めようとします。しかし痛みは痛みです。大小あれどストレスを感じて落ち込む人もいるでしょう。私は、そうした状況ではふりかえりの価値は低いと感じます。ふりかえりは単にフィードバックループができれば良いのではなく、ふりかえりの結果、次も頑張るぞとやる気が湧いてくるべきものだと思います。プロセスが改善されて、そのプロセスを回すメンバーのモチベーションが下がっては意味がありません。スプリントレトロスペクティブのような定期的なふりかえりでは、意欲的に参加し続けてもらうために、次のふりかえりも楽しみだなと感じてもらえることも重要です。

こうした考えから、ふりかえりをポジティブなコーナーから始めることを大事にしています。メンタリング等でよく言われる「まずは褒めよ」と同じ発想ですね。とにかく良かったことや成果に関する話題からスタートして、チームはよくやっているという気持ちを共有した上で、次に向けて直せるポイントがあれば議論しましょうとするわけです。最初にポジティブな空気を作ることで、そのあとの議論のトーンも変わっていくことが期待できます。少なくとも問題を追及するだけの地獄のふりかえりは避けられます。個人的には、これだけで100点中60点くらいは保証されると思っていて、ふりかえりを主導する立場からするとこんなに心強いことはありません。

自分のチームのスプリントレトロスペクティブでは、KPTにGoodのGを加えたGKPTを採用しています。Goodは自分のことでも他人のことでもチームのことでもなんでもよく、めでたいことや良い仕事を褒め合いましょうとしています。そうして書いてもらったGは最初のコーナーで全て取り上げます。この「全て」が大事で、投票して上位だけ取りあげるような形になると、下の方に触れられない自画自賛が残ったりして気まずくなるので要注意です。Goodコーナーでは、書いた人に次々読んでもらって、司会から「良いですね」と声をかけてみたり、他の人にコメントをもらったりします。それが一通り終わったあと、G以外の項目で投票を行って通常のKPTに入っていきます。この形式は「ミニ成果発表会のようで良い」とチームからも好評です。

それ以外の単発のふりかえりに呼ばれることもありますが、その場合も必ずポジティブなコーナーを作るようにしています。GKPTのようなフレームワークに載せられない場合は、アイスブレークと称して冒頭に時間を取って、「このプロジェクトで作ったものを見せてください」「チームやユーザーからポジティブなフィードバックがあったら教えてください」といった問いを投げたりしています。

もちろん、何もかも失敗していてどうしようもない場合もありますが、別に悪いプロジェクトじゃなかったのに何故かふりかえりがつらかった、というような落とし穴にはまらないためのセーフティーネットとして「ポジティブなコーナーから始める」は心強いプラクティスです。ぜひお試しください。