yigarashiのブログ

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上手にカイゼンタスクを依頼してチームの自己組織化をアジャイルに進める

上手にタスクを依頼する

1月末の評価で「自分の挑戦はできているので、次は人が勝手に挑戦する仕組みづくりを」とフィードバックをいただきました。チーム内で果たせる役割が増え、自分だけではやりたいことを達成できない場面が増えたこともあり、最近はこのフィードバックに素直に従って周囲を巻き込むことを意識しています。

人を巻き込む典型的なパターンは、大きなタスクを分割してサブタスクを依頼するやり方かと思います。最近はこのパターンによく遭遇します。そうした状況でどのようにタスクを依頼するかは非常に難しい問題だと感じます。依頼した結果、依頼した側は手を動かさずに目的を達し、依頼された側はそのタスクを通して成長し成果を主張できるのが理想です。まだまだできていないことも多いですが、この理想の状態に至るために次の2点を意識しようとしています。

ひとつは期待を具体的に伝えることです。どんな目的でやっていて、依頼したタスクでどんな成果を得たいかということを、なるべく具体的にわかりやすく伝えるのです。よくわからないが形式的にやってみた、という結果を2人で見て直していくのが一番大変なので、とにかくそこを回避するように気を回します。場合によっては、タスクの目的を言語化するところからお願いすることもあります。

もうひとつは方針案を伝えすぎないことです。タスクを依頼する側は、良かれと思って方針案を並べて詳細に書いてしまうことがよくあると思います。しかし実際に進めてもらったら全然違ったということも、またよくあるように思います。これは、分業しないと進まない程度には難しいタスクについて、やる前に正しい方針を言い当てるのは難しいという、ごく一般的な事実を示唆しています。間違った方針案でお互いに時間を浪費するのは非常にもったいないので、手を動かした者がそのタスクに一番詳しくなることを信じて、検索キーワードや参考リンクといった形で足掛かりを作れないか考えるようにしています(ちなみにこれは不確実性・創造性の高いタスクを想定した話で、新卒向けの導入などはまた別の議論があると思います)。

チームの自己組織化に応用する

以上2点によって達成しようとしているのは「目的を共有して自律的な行動を促す」ことです。これは小規模な自己組織化に他なりません。依頼する側の目的に対して、依頼される側が自律的に行動し達成するという図式は、スクラムマスターがチーム単位で起こしたい現象によく似ています。最近はこの「他人に上手にタスクを依頼すると自己組織化が起こる」という現象を、チーム改善における自己組織化に積極的に利用する実験を試みています。

スクラムチームは、スクラムマスターがチーム改善に対して最も自己組織化された状態からスタートします。ここから自律的なチーム改善を広げていきたいわけですが、これまで自分が持っていた方法論は、チームの目的を啓蒙するであったり、ふりかえりを強化するであったり、教科書的には正しいもののメンバーひとりひとりの行動の変化からは距離があるものばかりで、難しさを感じていました。しかしよく考えてみると、モチベーションに差がある何人ものメンバーに対して一度に自己組織化を広げようとするのは、やり方としてはウォーターフォール的で、これが大変なことはアジャイルを志向する人々なら想像に難くないかと思います。ここから、自己組織化の浸透もアジャイルに進めてみようという発想が生まれます。

まずは、チーム内でチーム改善に対してモチベーションが高い人を1人〜2人仲間にします。そして、そのメンバーに大きめのチーム改善タスクや、スクラムイベントの一部を任せます。その際には、上に述べたような自律的な行動を促す依頼を意識します。これによって、スクラムのエッセンスを自分ごととして取り込んで行動してもらえるようになることが期待されます。チームをシャンパンタワーのようなモデルだと思って、中心からじわじわ考え方を広げていくようなイメージです。これによって、今まで漠然とチーム全体を対象に議論して足踏みしていた自己組織化が、段階を分けて議論できるようになると考えています。

今は1ホップ目を開始したところで、このエントリを書いている途中でも目的の共有が甘いなと思い直す部分が多々あるなど、前途多難ではありますがやっていこうと思います。