yigarashiのブログ

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CRE(Customer Reliability Engineer)について調べた

EMとして関わっている事業でCREがいた方が良いかもしれないという話題が出た。弊社はてなではMackerelチームでCREが活躍しておりその存在は知っている。しかし同じチームで働いたことはなく、その全体像や期待値について詳しくは知らなかった。仮に自チームで迎えるとなれば、世間的な期待とマッチしたポジションである必要があるし、場合によっては自分がマネージャーをすることになるかもしれない。まずは解像度を一段高めて、具体的な検討を始められる状態になろうと思う。

今回の調査では以下の記事を参考にした。原典とされている文書、弊社CREの発信、検索上位の他社発信と簡単に散らして情報を集めた。

CREに関する調査まとめと思考

CREとはもともとGoogleから生まれた職種とされている。顧客が自社のアプリケーションをクラウドに預ける不安を取り除くことを目的として顧客の信頼性に取り組む。近年この考えをtoC/toBの自社製品へと拡大しCRE職種を設ける企業が増えている。クラウドに関わらず製品の利用においては技術的な障害物や不安が発生するし、効果的な活用のために提案やプラクティスが必要な場合もある。エンジニアが顧客に対して密に支援を行うことで、顧客の成功と製品に対する信頼を大きくし、最終的には事業成果や価値提供を大きくする試みである。

CREが取り組む仕事を自分のメンタルモデルに当てはめると、以下のように整理できると考えた。

  • マーケティング
    • 自社製品や関連領域についてのイベントの運営、記事執筆、登壇といったDevRel活動
  • セールス
    • 製品導入に向けた技術的な障害物を取り除く。商談で技術的な面をサポートしたり、ソリューションアーキテクトのように振る舞い導入に向けた具体的なプランを提案したりとあり方は様々
  • カスタマーサクセス
    • テクニカルサポート、カスタマーサポート、製品ドキュメントの充実、利用状況の分析やサービス利用の支援など
  • プロダクトマネジメント
    • VoC(Voice of Customer)に基づくプロダクトの新たな価値提案や開発

ソフトウェア開発における、いわゆる「ビジネスサイド」に広く活動領域が横たわっており、事業の状況や特性に応じて取り組む仕事や軸足が変わる。その中でも実際に顧客とコミュニケーションを取る、セールスやカスタマーサクセスの領域が仕事量としても多くなりそうには見える。

各領域におけるエンジニアのサポートはCREという職種とは関係なく存在していた仕事で、「セールスエンジニア」のような別の名前で呼ばれたり、開発を主務とするエンジニアが片手間で取り組んだりしていたのだと思う。そうした仕事が網羅的に発見され、また開発チームが割り込みとして処理する非効率や難しさが問題視されたことで、ビジネス領域にオーナーシップを持って主体的に動くCREという職種が生まれたのではなかろうか。ビジネスチームをストリームアラインドチームとして完成させ、製品の技術面や開発チームとの橋渡しをするピースとして、CREの価値を理解できるように思えた。

こうした理解をもとにすると、単にCREをひとり入れれば良いというわけではなく、セールスやサポートといった他の職種を含めたビジネスチーム全体の働き方やバリューストリームの展望を持って期待やポジションを設計する必要がありそうだ。関係者と会話をして具体化していこうと思う。

余談: NotebookLMを使ったしらべごと

今回の調査はGoogleが提供するNotebookLMを使って行った。ざっくり言うと、Webサイトなどのデータソースを登録して簡単にRAGが作れて、その回答や自分のメモを一緒にストックできるサービスである。何か特定のトピックについてしらべごとをするのに向いていそうだったので、今回ためしに使ってみた。データソースを登録して質問をすると出典をつけて返してくれるので、対象のデータソースを対話的に理解することができた。また、前節の自分の言語化をそのまま突っ込んで「間違いや不足している観点を指摘してください」と質問できるのは良かった。ここはこういう出典と整合するとしっかり検査してくれて、まあ致命的な間違いはなさそうだなというのを確認して記事を公開できている。まだまだ荒削りだが期待が持てる体験だった。