yigarashiのブログ

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マイスキルマップでエンジニアとしての己を見つめ直す

最近テックリードのロールを手放し、働き方がEMに近づいた。折に触れてEMになりたいと言ってきたが、だからと言って最初からうまくできるわけもなく、ここ1ヶ月くらいは悶々としながら過ごしている。特に今回困ったのは、自分の現在地がぼんやりしていて漠然と据わりが悪い感触に苛まれている点だ。もう少し課題や方向性を精緻にして、自信を持って前進できる環境をつくりたい。その一環としてマイスキルマップを作ってみたので紹介する。

マイスキルマップへ至る思考

自分が大事にしている心構えのひとつに「練習していないことはできない」というのがある。十を知るには十を聞き、繰り返し実践することでしか一人前にはなれないという、ごくごく当たり前のことだ。この心構えでひとつひとつ丁寧にやっていくのが、ここ5、6年の自分の強みだと思っている。

しかしこの心構えを維持するのは簡単ではない。何かができるようになると、自分の能力のイメージは否応なく肥大する。周囲からの期待も大きくなる。新しいことに挑戦する時に、ひとかじりすれば最初から上手くできると慢心してしまうことがある。

今の自分はまさにこの状態であると気づいた。さらに悪いことに、大きく広がった自分のスキル領域の中に、これまでも準備していた事柄が点々と散っており、自分に何ができて何ができないかわからなくなっていた。それによって、何が課題であるか、次に何をすべきかがわからず、漠然とした据わりの悪さに苛まれていたのだと分析した。

こうした状況を打破するために、自分のスキルを棚卸して現状を整理したいと考えた。そのためには、自分のスキル群を複数の観点で可視化できるスキルマップが最適だ。このような思考の流れでマイスキルマップというアクティビティにたどり着いた。

マイスキルマップの構造をどうするか

いざ作るとなっても、漫然と自分ができることを並べていくだけでは構造化として弱い。グループや軸を使って、自分のスキルを種類ごとに可視化したい。自分はEMの世界観でエンジニアリングに取り組んでいるので、例によってテクノロジー、デリバリー、ピープル、プロダクトの4軸を使うことにした。Engineering Management Triangleも候補だったが、こちらはかなり視座が高く、まだプレイヤーとしての活動もやっていく自分にはマッチしないと考えた。3年後くらいにはTriangleを使う方が良くなっているかもしれない。人によっても全く違う分類方法を採用することになるだろう。

各スキルのレベルは以下の4段階としてみた。

  • Lv.1
    • 過去に触ったりして前提知識がある
  • Lv.2
    • 1年以上の業務経験があり普通に発揮できる
  • Lv.3
    • チームをリードできる
  • Lv.4
    • 組織全体やコミュニティに知見を配れる

特別なことは考えておらず、自分にとって自然な段階をつけたらこんなものかなという感触だ。採用担当として見た時に参考になるかという目線は多少あったかもしれない。

マイスキルマップ作成

以上のセッティングで作ったスキルマップが以下だ。

スキルマップ

各スキルの軸の位置は、あくまで自分の主観をざっくり反映したもので、そこまで厳密な意味はない。同じスキルでも違う軸の位置で捉えて取り組んでいる人もたくさんいると思う。あとmiroの無料版で作ったので、エクスポートする時の解像度が制限されていて文字は読みづらいかもしれない。

マイスキルマップ分析

作ったスキルマップを眺めることで、以下のようなことを改めて認識した。

デリバリー領域が自分の強みである

チームをリードして成功体験を積み、その知見をブログや登壇、社内ギルドで配ることができている。最近はアジャイルコーチとの壁打ちで井の中の蛙の気持ちを味わっているが、そこで自己評価を下げすぎるのも不適切だろうと思う。

テクノロジー領域が広く浅い

Webアプリケーションエンジニアとしてフルサイクル/フルスタック寄りの働き方をしているのがそのまま反映されている。ソフトウェア設計や基盤ロードマップなど、広く浅く身につけた道具を組み合わせるメタ的な能力が頭ひとつ抜けているが、それ以外の具体的な技術で抜けているものはない。「AWS」「Web全般」など異常に解像度が低い領域があるのも特徴的だ。既存のシステムのレールに乗って無難に開発をするには十分なスキルだが、非連続な改善を起こすには不足と言わざるを得ない。最近、開発の方向づけがイマイチまとまらず困っていたのはこのあたりが関係していそうだ。

ピープル領域に自信がない

実際に1on1などのスキルを配置する時にLv.3に置く自信が湧いてこなかった。もちろん無難に必要な業務はこなしているが、言語化された思想、成功体験、再現可能なノウハウがまだ不足している感触がある。同じ業務に従事する同僚に対して自信を持って体系的に教えられるイメージが湧かない。EMとしての振る舞いに困っている現状をよく反映しているようにも思う。人をマネジメントすることについて体系的なインプットが不足している感触があるので、そこからケアしていこうと思う。

プロダクト領域に少しずつアプローチできている

自分はプロダクト領域に全く関われていない、もっと何かしなければという思いが空回りして、最近いろいろと失敗があった。しかし自分のスキルを配置してみると、意外とプロダクト軸に近いものがチラホラあると気づいた。無理にプロダクトマネジメントの本丸やUI/UXに踏み込んでいくよりも、エンジニアとしてやれることを正しく認識して、そこにコミットしていくほうが地に足がついて良い感じがする。

まとめ

こうしてみると、ホットスポットはテクノロジーとピープルのLv.2の領域に見える。ここに燻っているスキル群がたくさんある。それらが伸びていないことと、自分のいまの悶々とした状況に関係があることも見えてきた。Lv.2の領域を上げていくにはひたすら頭を使ってインプットと経験を重ねるしかないと思っているので、やっていくぞ。